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「RFID テストベッド」の供用事業を開始しました

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2021 年 2 月 8 日
株式会社宮川製作所

「RFID テストベッド」供用事業を開始
RFID の電波伝搬特性に係わる技術開発・実証のためのテストベッド活用により
RFID 利用拡大に貢献


株式会社宮川製作所(本社:東京都目黒区 代表取締役:宮川恒太郎)は 2021 年 2 月 1 日より、UHF 帯 RF タグを貼付け管理対象物の電波伝搬特性に係わる基礎・応用技術の開発・実証を目的とした、RFID に特化した「RFID テストベッド」の運用を開始しました。

本テストベッドは 2020 年 3 月 13 日に国立研究開発法人情報研究機構(NICT)の新技術開発施設(IoT テストベッド)供用事業の助成交付対象として採択され、設立したものです。

供用する RFID テストベッドは、大型電波暗室(6.5m×4.5m×H3.4m)と RFID 専用の広帯域リーダーライター及び送受信アンテナで構成され、常設 RFID 評価設備としては国内最大級です。暗室内に UHF 帯(920MHz)RF タグを貼付けた大型管理対象物を搬入し、送受信アンテナと RF タグの間の電波伝搬特性評価が可能です。RF タグは貼付ける対象物の導電性、誘電率、形状等によりその性能が大幅に劣化する場合がありますが、本テストベッドは大型管理対象物であっても現場設置環境に近い状態での精密な評価ができます。

既に、慶應義塾大学三次仁教授らによる無線給電同期バックスキャッタ通信研究開発での利用を初めとして、一般社団法人日本自動認識システム協会による RF タグ貼付け物品の評価にも使われ、今後さらに RFID 応用研究開発へ貢献してまいります。


<背景>
近年、UHF 帯 RFID はアパレル産業を中心にその利用が急速に進み、最近では物流や在庫管理など幅広くその応用範囲が拡大しています。
アパレルの場合はタグを貼付ける対象物は紙製の値札や衣服そのもので、RF タグに内蔵されている UHF アンテナに与える電磁的な影響は軽微でした。一方、応用が広がる管理対象物には金属製ラックやガラス製品(ボトル)、机、パソコン、サーバーなど、導電性あるいは誘電率の大きな材料が使われる場合が多く UHF 帯 RF タグの性能に著しい影響を与え、結果として RF タグからのデータが読みにくくなるなど実用上の課題に直面しています。

<供用する RFID テストベッドの特徴>
貼付ける対象材料からの UHF 帯 RF タグへの影響は、金属材料や水分の場合は電磁的な損失による電波の吸収と、誘電体の場合はその誘電率によっては RF タグ内のアンテナ性能への影響があります。この内、後者はタグの感度ピーク周波数が日本国内で UHF 帯 RFID 用として指定されている周波数の
920MHz 付近から外れることによる読み取り感度低下を招きます。

このため大型管理対象物であってもその材料や構成に対応して RF タグを選択し、場合によっては感度ピークの周波数がずれることを想定した RF タグの設計(貼付けた状態でピーク周波数が 920MHz付近になる)を行います。このような開発/評価を行うためには電波暗室内で RF タグの周波数特性を正確に計測し、さらには管理対象物品が複数配置されているような現実に近い条件での電波の反射や吸収の影響も正確に把握する必要があります。

供用する「RFID テストベッド」では、大型電波暗室(6.5m×4.5m×H3.4m)の中に RF タグを貼付けた 1.2m×2m×H 2mの大型管理対象物をそのまま搬入設置でき、常設している送受信アンテナ及び RFID 専用の広帯域リーダーライターにより 600MHz~1300MHz の周波数範囲での RF タグの感度、指向性、干渉の評価が実施できます。


<利用方法>
RFIDの研究、開発、ビジネスに関わる企業、学校、研究機関のどなたでも利用できます。
利用にあたっては予約が必要ですので、下記に連絡下さい。尚、RFID テストベッドの設置場所は(株)宮川製作所横浜事業所内ですが、弊社の事業とは無関係でも利用できます。

<本件に関する問い合わせ先>
連絡先
株式会社宮川製作所内 RFID テストベッド受付:rfid.tb@msk.co.jp

関連リンク
RFID テストベッド 紹介ページ
RFID テストベッド 特設サイト